快適で安心な暮らしをつくる照明計画|部屋別の明るさと転倒予防のポイント

住宅の照明は、単に明るければいいというものではありません。
部屋の用途に応じた最適な明るさ(照度)を選ぶことは、快適性だけでなく安全性にも直結します。
特に高齢者のいるご家庭では、転倒予防のためにも照明計画がとても重要です。
この記事では、部屋ごとにおすすめの明るさや照明器具の種類、高齢者向けの転倒予防策をわかりやすく解説します。

照明の「明るさ」を決める2つの指標

  • ルーメン(lm):光源そのものの明るさ(光の量)
  • ルクス(lx):照らされる場所の明るさ(照度)

照度(ルクス)は、「人の目がどれくらい明るく感じるか」を示す指標です。照明器具を選ぶ際には、部屋の広さや天井の高さも考慮しながら、照度の目安を参考にすると失敗しません。

部屋ごとの適切な明るさ(照度)の目安

部屋の用途推奨照度(ルクス)転倒予防のポイント
リビング150〜300 lx足元が見えるよう、間接照明より全体照明を優先
ダイニング200〜500 lx明暗差が出ないように均一な明るさを
キッチン500〜750 lx手元灯をしっかり、足元も安全に
寝室30〜150 lx夜中の移動に備えて常夜灯や足元灯を設置
洗面・トイレ300〜500 lx明るさ+自動点灯照明の導入がおすすめ
廊下・階段100〜200 lx転倒事故の多い場所。段差を明るく照らす

高齢者の転倒を防ぐ照明の工夫

1. 明暗差をつくらない

明るい場所と暗い場所があると、目が慣れずに足元が見えづらくなり転倒の原因になります。
廊下・リビング・トイレ・寝室の照明を均一な明るさに保つよう心がけましょう。

2. 足元を照らす間接照明やセンサーライト

特に夜間の移動時には、自動点灯式の足元灯が有効です。廊下やベッドサイド、トイレ前などに設置することで、暗がりでの移動時も安全です。
また、段差や階段には明るさを強調した照明を設置すると、ステップが視認しやすくなります。

3. 操作が簡単な照明スイッチ

高齢者の操作性を考慮し、スイッチ位置を腰高(床上1m程度)にしたり、リモコン・音声操作タイプの照明もおすすめです。
寝室や玄関では「手元でON/OFFできる」安心感が重要です。

照明器具の種類と使い分け

  • シーリングライト:全体を明るく照らし、足元も見えやすい。リビングに最適。
  • ダウンライト:スッキリした印象。複数配置で照度バランスを取る。
  • センサー付き照明:夜間のトイレ・廊下などに最適。
  • 常夜灯・フットライト:寝室や廊下の足元照明におすすめ。
  • 調光付きLED:時間帯や使用目的に応じて明るさを調整できる。

まとめ|照明は「安全」と「快適さ」を両立する大切な設備

高齢者にとって、照明の明るさは安全に直結します。転倒のリスクを減らし、安心して暮らすためには、適切な照度・配置・操作性を考慮した照明計画が欠かせません。
生活スタイルや年齢に合わせて、今ある照明を見直すだけでも、大きな安心につながります。
将来を見据えた“あかり”の工夫で、より安全・快適な住まいを実現していきましょう。